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第103回学術集会(平成14年6月9日(日))
【一般演題】
合併症妊娠(1) 劇症型A群溶連菌感染を発症した妊娠糖尿病妊婦が母体死亡に至った一例
山口 俊一, 高江 健太郎, 橋本 耕一, 藤沢 昭三
稲田登戸病院産婦人科
劇症型A群溶連菌感染症は,急激な経過をたどり産科領域では母児ともに不幸な転帰となることが多い.今回我々は妊娠糖尿病妊婦が本症により母体死亡に至った一例を経験した.症例:32歳5経妊3経産(3,105g/2,650g/4115g).他院にて2年前に妊娠糖尿病指摘(75gOGTT 89−217−171).今回妊娠24週2日他院初診.尿糖(+++).28週3日,75gOGTT 129−291−202とコントロール不良だった.32週5日に当科紹介初診.同日三次救急病院に紹介した.33週4日,腹緊増強にて当院救急外来受診.3日前から発熱あり,来院時腹緊3分毎,不正性器出血認め,経腹超音波にてFHB(−),IUFDにて緊急入院した.入院直後に急速に分娩に至り,男児娩出(2,066g).子宮収縮不良にてオキシトシン投与した.出血約1,000ml,血圧96/44mmHg,脈拍138bpm,乏尿.採血するも溶血強く,出血した血液が黒色低凝固性であり,結果を待たずDICを想定した治療を開始した.メシル酸ガベキサート,ウリナスタチン,ヘパリンナトリウム,ATIII投与した.分娩から2時間40分後血圧測定不能,心拍不整.同2時間53分後意識消失,末梢にチアノーゼ出現した.胸内苦悶あり,気管内挿管するも,同3時間22分後心停止,死亡した(入院から3時間半後).血液検査結果は,PLT:7.5 PT:26.0% APTT:測定不能FIB:27mg/dl FDP-S:>160μg/dl ATIII:54.0% D-Dimer:>8.0μg/dlとDICを認めていたことが分かった.血液培養にてStreptococcus pyogenes(GroupA)による敗血症であったことが判明した.本症例を文献的考察と併せ報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(2)
163-163, 2002
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