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第103回学術集会(平成14年6月9日(日))
【一般演題】
合併症妊娠(2) 妊娠中に発症したSLE合併妊娠の一例
今井 美和, 栗原 務, 糸賀 俊一
利根中央病院産婦人科
妊娠中に発症したSLE合併妊娠の一例群馬県利根中央病院産婦人科○今井美和 栗原務 糸賀俊一全身性エリテマトーデス(SLE)は20〜30歳代の生殖年齢の女性に好発するため,妊娠合併例を管理する機会も稀では無く,妊娠がSLE発症の誘因となることもある.妊娠中に発症したSLEはその臨床症状が妊娠中毒症と似ているが,両者の治療法方は全く異なるため鑑別が重要である.今回我々は妊娠中に発症したSLEを経験したので報告をする.症例は25歳,0経妊0経産である.前医より妊娠32週時に全身浮腫と蛋白尿から妊娠中毒症の診断で当科紹介入院となった.入院時,38度以上の発熱,手指・足首・肩・肘の関節痛,白血球減少を認め,膠原病やウイルス感染も疑われたため内科受診した.抗核抗体・抗DNA抗体異常高値,抗SSA抗体陽性,尿中細胞性円柱を認め,口腔潰瘍も出現しSLEと診断され,ステロイド・低容量アスピリン療法が開始された.治療開始後,関節痛,浮腫,発熱等の臨床症状は軽快し,蛋白尿も徐々に減少を認めた.胎児に関しては頻回に超音波検査や胎児心拍モニタリング施行し管理を行ったが,胎児発育は順調で,完全房室ブロック等も認めなかった.母体の全身状態も安定してきたため計画分娩を予定したが,自然陣発し,妊娠37週5日に正常経膣分娩に至った(2,868g男児Apgar9−10−10).児は出生後念のため小児科入院となるも新生児ループスを認めず,経過順調であった.母体は分娩後低容量アスピリン療法を中止し,ステロイド療法を続行した.一般的に分娩後にSLEが増悪する可能性が高いが,本症例ではステロイド40mg/日と,分娩前と同量の投与でコントロール良好で,産褥7日目に内科転科となった.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(2)
163-163, 2002
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