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第103回学術集会(平成14年6月9日(日))
【一般演題】
合併症妊娠(2) 妊娠中に活動期と診断したSLE合併妊娠の一例
中澤 禎子, 久野 宗一郎, 宮川 康司, 正岡 直樹, 栃木 明人, 山本 樹生
日本大学産婦人科
今回我々は,妊娠中に活動期と診断したSLE合併妊娠を経験したので報告する.症例は29歳の主婦.近医で妊婦健診施行中妊娠25週より顔面全身浮腫,体重増加(7kg/3週),尿蛋白(+),血圧130/81mmHg(初期107/59mmHg)と上昇を認めたため前医紹介入院となった.胸部レントゲンで心拡大,超音波で心嚢液貯留(心膜炎),腎障害(蛋白尿陽性),抗核抗体陽性,抗DNA抗体陽性,抗SS-B抗体陽性,補体低値(C3;32mg/dl,C4;5 mg/dl),WBC3,400/μl,Alb3.2g/dlであったため,SLE合併妊娠(活動期)の診断となった.心不全症状はフロセミド投与にて軽快,心膜炎に対しプレドニゾロン(PSL)60mg/day,アスピリン81mg/day内服開始した.妊娠27週に入り子宮頚管長の短縮を認め,頚管無力症の診断で頚管縫縮術施行した.以後,tocolysis施行するも,29週6日,性器出血・子宮収縮・破水感出現し,母体・新生児管理目的にて当院へ母体搬送となった.当院入院後,SLEの再評価を行ったところ,心嚢液少量貯留認めるも心機能は保たれており,内科と相談のうえ妊娠継続可能と判断し,切迫早産の管理を開始した.SLEに対してはPSL・アスピリン内服を継続した.児の発育はAFDで,胎盤機能異常を示唆する所見は認めなかった.SLEはPSL内服で寛解傾向にあったが,31週5日より性器出血・子宮収縮など切迫症状の増強を認め,tocolysis不可能となり,32週0日経腟分娩となった.児は体重1,400g(AFD),女児,Apgar7であった.新生児経過は特に問題なく,新生児ループスは認めなかった.産褥管理ではSLE急性増悪予防のため分娩直後はPSLを増量し,その後SLEの活動性に注意しつつPSLを徐々に減量し,産褥経過は良好であった.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(2)
164-164, 2002
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