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第103回学術集会(平成14年6月9日(日))
【一般演題】
合併症妊娠(2) 妊婦の脈波伝播速度測定
板倉 称, 小菅 陽子, 須床 和恵, 杉村 基, 小林 隆夫, 金山 尚裕
浜松医科大学産婦人科
目的;最近動脈硬化進展を簡便に測定する方法として四肢血圧(上腕,足首)同時測定装置による上腕―足首動脈間脈波伝播速度(baPWV)測定が注目されている.脈波伝播速度は「血管年齢」の指標としても注目されているが,高血圧,高コレステロール血症などの生活習慣病,加齢等のさまざまな環境,背景因子が血管の弾性に関与している.今回我々は正常妊婦および合併症妊娠の症例について脈波伝播速度を測定し動脈硬化病変や妊娠中毒症に関連性があるか検討した.方法;当院に動脈硬化を起こしうる合併症で外来通院または入院している妊婦を対象としbaPWVを測定した.正常妊婦3例,栓友病合併妊娠症例としてはSLE合併症例が2例,先天性AT-3低下症例が2例,抗リン脂質抗体症候群症例が1例,妊娠中毒症症例が3例である.結果;正常妊婦ではbaPWVは1,088±40.2cm/s,AT-3低下症や抗リン脂質抗体症候群症例ではbaPWVは1,021±30.5cm/sであったが,妊娠中毒症やSLEを合併した妊婦においてbaPWVは平均1,419±112cm/sと高値を示した.ただしbaPWVが高値を示した群と正常値を示した群では年齢には差がないものの,平均血圧は高値群で平均100.7±16.7mmHg,正常値群では76±3.6mmHgと高値群で高い傾向がみられた.栓友病を合併した妊婦でも高値をとるものと,正常値をとるものが見られた.考察;動脈硬化は一般には脳卒中や虚血性心疾患等の原因であるが,妊娠時においては血栓症や妊娠中毒症の発症に関与している可能性がある.若干の文献的検討を加え報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(2)
164-164, 2002
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