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第103回学術集会(平成14年6月9日(日))
【一般演題】
合併症妊娠(3) 脳内出血発症4年後に妊娠32週で外傷性てんかんを発症した症例の検討
松村 好克, 舘岡 佐知, 沖野 恵子, 林 隆, 林 瑞成, 澤 倫太郎, 米山 芳雄, 朝倉 啓文, 荒木 勤
日本医科大学産婦人科
妊娠はてんかんの発症に影響を与える可能性が示唆されているが,今回我々は,4年前に脳内出血の既往を持つ妊婦が,妊娠中に外傷性てんかん発作を発症した症例を経験したので報告する.症例:32歳,0回経妊0回経産.既往症として4年前に右後頭葉出血.保存的治療にて軽快した.今回妊娠の診断にて,当科で妊婦健診を受けていたが,特に異常は認められていなかった.妊娠32週6日,突然の意識消失発作にて転倒し精査のため当科緊急入院.入院時,痙攣重責発作を認め共同偏視左方,眼振右→左.脳内出血を疑い頭部CT検査を施行するも,明らかな出血巣はなく,右後頭葉にわずかなHigh density areaを認めるのみであった.緊急帝王切開施行し1,920g,男児出産.術後,約3時間後には意識清明となり以後経過は順調.アレビアチン内服にて痙攣発作を再発することはなかった.その後,脳波検査施行し,右後頭葉にSpike waveを認め,痙攣発作の原因は陳旧性の脳内出血による外傷性てんかんであると考えられた.妊娠がてんかんの発症に及ぼす影響に関しては様々な報告がなされているが,本症例のように,妊娠を契機として,外傷性てんかんを発症することもあるので,脳内出血などの既往を持つ妊婦においては,てんかんなどの発症の可能性を常に念頭におく必要がある.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(2)
165-165, 2002
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