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第103回学術集会(平成14年6月9日(日))

【一般演題】
合併症妊娠(4)
妊娠中に重度の肥大型閉塞性心筋症と診断され,ペースメーカー設置後に妊娠32週で硬膜外麻酔下に帝王切開術を施行し,母児ともに生存しえた症例


大井 理恵, 宇野 雅哉, 田島 麻記子, 横浜 祐子, 石川 智則, 若林 晶, 宇田川 秀雄
国保旭中央病院産婦人科


 肥大型閉塞性心筋症(HOCM)は原因不明の遺伝性心疾患で,突然死のリスクも高いため,一生涯慎重な経過観察が必要である.妊娠・分娩による循環動態の変動がHOCM患者に与える影響は大きく,妊娠の許可および分娩までの管理は非常に慎重になされるべきである.今回我々は,重度のHOCM妊婦に一時的ペースメーカーを設置して帝王切開術を行い,母児ともに経過良好な症例を経験したので報告する.症例は25歳女性で1経妊0経産,父が非閉塞性の肥大型心筋症(HCM)である.患者本人は16歳時にHCMと診断されており,20歳で流産した時に避妊と内科定期受診を指示されていたが5年間受診せず,今回の妊娠に至った.29週で他院を初診し,30週で当科紹介初診となった.初診時の母体血圧は120/70程度,特に心不全徴候はなく,児の発育も良好であったが,頚管長短縮と頻回の子宮収縮を認めた為,31週で入院とし,硫酸マグネシウムの持続点滴を開始した.循環器科で精査し,左室流出路圧較差100〜120mmHg,僧房弁前方運動も認め,重度のHOCMと診断された.次第に血圧低下傾向も見られ始めたので早期の妊娠終了が母体の為に望ましいと判断し,分娩方式は分娩時間・出血量・循環管理の面から予定帝王切開とした.一時的ペースメーカーを右室心尖部に留置して左室流出路圧較差を約20mmHg軽減し,32週5日で硬膜外麻酔下に帝王切開術を施行,2116gの正常男児を得た.分娩前100/50だった母体血圧は分娩後130/70と上昇し,分娩終了による循環動態の改善を意味すると考えられた.母体は,手術翌日にペーシング終了とし,経口摂取開始後よりジソピラミドの内服を開始したが,術後も大きな問題はみられておらず,経過良好である.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(2) 166-166, 2002


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