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第103回学術集会(平成14年6月9日(日))

【一般演題】
合併症妊娠(5)
巨大子宮筋腫合併妊娠の一例


川上 香織, 宮田 真千子, 中村 秋彦, 冨久尾 信
国立横浜病院産婦人科


 近年,子宮筋腫合併妊娠は増加傾向にあり,全妊娠の2.0%に認められるとの報告もあるが,ほとんどの症例は保存的治療により対応可能である.今回我々は妊娠14週に筋腫核出術が必要であった巨大子宮筋腫合併妊娠を経験したので報告する.症例は38歳の初産婦で16年間の不妊の後,平成13年2月25日を最終月経に妊娠.4月27日,子宮筋腫合併妊娠(妊娠8週5日)として近医より紹介となる.CRL 23mmでGSの上方に小児頭大の筋腫と思われる充実性腫瘍を認めた.当初,外来通院で経過を見ていたが,妊娠12週になり腫瘍は急速に増大し,それに伴い腰背部痛,心窩部の圧迫感,摂食不良などの症状が出現し,妊娠13週1日に入院管理となった.補液と塩酸イソクスプリンを投与したが,夜間になると腰背部痛,心窩部痛は増強し,不眠,嘔吐などの症状も出現するようになった.MRIの所見は子宮体部頭側に発育した20×22×13.5cm大の子宮筋腫であった.その後も症状の改善が見られないため,妊娠14週1日に硬膜外麻酔下に3050gと80gの筋腫を核出した.術後経過は良好で自覚症状も改善したため,妊娠16週5日に退院となった.妊娠25週1日に腹痛あり来院.規則的な子宮収縮を認め,切迫早産と診断して塩酸リトドリンを投与した.以後,入院管理を行っていたが,妊娠34週になり子宮収縮が頻回に見られるようになったため,妊娠34週6日に帝王切開を行い2,148gの男児を娩出した.妊娠中の子宮筋腫に対しては保存的な治療を行うことを心がけてきたが,今回,巨大な筋腫による圧迫症状が妊娠初期より出現し,核出術を必要とした症例を経験した.当科における子宮筋腫合併妊娠の臨床統計と若干の考察を加え報告する.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(2) 169-169, 2002


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