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第103回学術集会(平成14年6月9日(日))

【一般演題】
周産期偶発合併症(1)
一時的下大静脈フィルター抜去に苦慮した深部静脈血栓肺塞栓症妊婦の一例


竹内 康高, 杉村 基, 小菅 陽子, 大橋 涼太, 板倉 称, 須床 和恵, 小林 隆夫, 金山 尚裕
浜松医科大学産婦人科


 近年,日本においても深部静脈血栓肺塞栓症(DVT/PE)に対する認識の高まりから,致命的なPE発症予防が積極的に求められるようになっている.今回我々はDVT発症後,PE予防のため一時的下大静脈(IVC)フィルター留置,帝王切開分娩となるもフィルター部血栓形成により同抜去に苦慮した症例を経験したので報告する.
 症例は28歳,0経妊0経産,平成13年3月の最終月経を以って妊娠,妊娠25週に下肢の疼痛腫脹を認め,近医よりDVTを疑われて当科紹介入院となった.家族歴,既往歴に特記すべきことはない.入院時検査所見としてはATIII活性108%,プロテインC活性86%,遊離型プロテインS活性34%,プラスミノーゲン131mg/dl,抗カルジオライピン抗体β2GPI複合体抗体価1.2未満,ループスアンチコアグラント(希釈RVV法)陰性であった.超音波カラードプラー法並びにMRIアンギオグラフィにより大腿静脈から左総腸骨静脈部に血栓形成を認め,肺血流シンチグラフィにより陰影欠損像を認めたことからDVT/PEと診断,直ちにヘパリン持続静注による抗凝固療法を開始した.妊娠37週において一時的IVCフィルター留置の後,分娩誘発を試みるも不成功のため,妊娠38週に帝王切開分娩により2824g,女児を娩出した.分娩後8日目,腹部CTスキャン上同部の広範な血栓形成を認めたため,ウロキナーゼ点滴静注後,血栓除去術を試みるも,十分な除去ができなかったため再度一時的IVCフィルター留置,血栓の器質化を待って同抜去した.
 IVCフィルター留置自体により血栓形成が起こったのか,分娩後の遊離血栓が捕捉されたのかは不明であるが,一時的IVCフィルター挿入抜去に際しては,抜去後PEを含め慎重な管理が必要である.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(2) 170-170, 2002


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