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第103回学術集会(平成14年6月9日(日))
【一般演題】
周産期偶発合併症(2) バンコマイシン低感受性MRSA(vancomycin-intermediate resistant Staphylococcus ureus; VISA)による難治性産褥敗血症性ショックの一例
高橋 宏典, 松田 秀雄, 川上 裕一, 斉藤 恵子, 古谷 健一, 菊池 義公
防衛医科大学校産婦人科
【緒言】MRSAの中にバンコマイシン低感受性株が存在することが報告されてきているが,VISAによる産褥敗血症の症例報告はいまだにされていない.今回,VISAによる難治性産褥敗血症性ショックの一例を経験したので報告する.【症例】29歳女性0G0P.既往歴,合併症なし.他院にて正常分娩後,産褥4日目より高熱が認められた.経口セフェム系抗生剤と解熱剤で様子見るも軽快せず入院.その後も抗生剤点滴静注の治療行うも軽快せず,産褥10日目に血圧低下,下肢を中心とした皮疹が出現したため当院紹介入院となる.膣分泌物からグラム染色を行い多量のグラム陽性球菌を確認.子宮をfocusとしたMRSAによる敗血症性ショック,DICと診断した.ポリミキシンB吸着療法,子宮腔内洗浄,VCMの点滴静注を開始.培養の結果,MIC4μl/mlであり,VISAと判明した.バンコマイシン投与量についてはTDM(therapic drug monitoring)を施行し,厳密に管理していたが副作用であるRedman症候群を発症した.バンコマイシン中止を余儀なくされ,MRSA陰転化までに長期間を要した.症例を通じて得た知見を文献的考察とともに報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(2)
172-172, 2002
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