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第103回学術集会(平成14年6月9日(日))
【一般演題】
周産期偶発合併症(3) 腰痛を主訴に末期胃癌の診断に至った一例
竹山 智, 平井 邦彦, 齋藤 寿一郎, 三室 卓久, 井槌 慎一郎, 石塚 文平
聖マリアンナ医科大学産婦人科
33歳1経妊1経産,最終月経を平成13年2月22日として妊娠後,他院にて妊婦健診通院.平成13年2月前後に花粉症くしゃみ時に腰痛自覚あり.6月28日,妊娠18週1日に前医より強度腰痛の主訴にて紹介精査入院.入院時は,車椅子移動,自力にて起き上がり困難であった.腰痛以外は自覚症状なく特に消化器症状も認めず.整形外科依頼するも,理学的所見は認めず,この時点では妊娠によるものと診断した.37℃の微熱持続し,血液生化学検査にて汎血減少,凝固能異常を認めた.血液,膠原病内科依頼にて精査を行うも抗核抗体,抗カルジオライピン抗体等陰性で膠原病は否定される.骨髄穿刺するもDry tap,骨髄病理検査結果はadenocarcinomaの診断.妊娠中のため20週まで待機し腰椎MRI,X-p施行.骨梗塞または融解像の所見が認められた.原発不明の骨髄癌症にて原疾患精査,治療必要と判断し,急きょ本人,家族に説明の上,7月26日,妊娠21週6日,児をプレグランディンを使用してterminationを行った.平行して胃内視鏡にて表在性のびらんを認め生検にて同様にadenocarcinomaの診断にて胃癌(type4,stage4)原発と確定診断となる.産科的処置終了後,7月28日消化器内科転科後,MTX,5FU療法を3クール施行.凝固能は一時改善傾向であったが,その後DIC所見進行.頭部CT上,脳浮腫を来たし,9月4日に転倒後,顔面皮下出血,DICにて9月10日,死亡の転帰となる.妊娠中に症状に乏しい中で進行癌を診断された稀な症例であるが,文献的考察を加えて報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(2)
173-173, 2002
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