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第103回学術集会(平成14年6月9日(日))

【一般演題】
周産期偶発合併症(3)
急性虫垂炎合併妊娠10例の臨床的検討


西島 和香苗, 須賀 新, 的野 博, 飯田 信, 多和田 哲雄
国際親善総合病院産婦人科


 妊娠に合併する急性腹症の鑑別は,妊娠中の生理学的,解剖学的な種々の変化のため比較的困難である.その中でも,急性虫垂炎は1,000〜2,000例の妊娠に一例と言われており,まれな妊娠合併症の一つである.今回我々は1994〜2001年の9年間に当院で経験した虫垂炎合併妊娠10例の臨床像について検討した.総分娩数は6742例であり,急性虫垂炎合併妊娠はその0.14%を占めていた.発症年齢は22〜37歳で,平均29.9歳.妊娠時期は,妊娠前期(0〜12週)3例,妊娠中期(13〜28週)5例,妊娠後期(29週以降)2例と妊娠中期が半数を占めていた.また,初発症状としては7例が下腹部痛,3例に胃痛や嘔気,嘔吐などの消化器症状から,次第に右下腹部に限局する痛みを認めている.平均白血球数は13,970/mm3,CRPの平均は3.25mg/dlであり,超音波断層法を用いたTransverse viewでの虫垂横断像も診断においてかなり有用であった.最終的には,全例で,入院後一日以内に虫垂切除術を施行しており,一例は同時に帝王切開を施行した(妊娠38週).術後は週数に応じたtocolysisを行い,平均8.5日間の入院で退院している.分娩転機は,6例が正期産分娩,3例が早産に至っており,1例は,妊娠継続中である.局所的な炎症にとどまる段階で手術が行えたので,母児ともに予後は良好であった.妊娠という特殊な状況下での迅速な診断と治療の方策について,文献的考察を加え報告する.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(2) 174-174, 2002


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