|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第103回学術集会(平成14年6月9日(日))
【一般演題】
周産期管理(1) 当院における早産予防の試み
和田 麻美子1), 永井 聖一郎1), 奈良 政敏2), 深田 幸仁2), 平田 修司2), 星 和彦2)
加納岩総合病院産婦人科1), 山梨医科大学産婦人科2)
【目的】頚管粘液中顆粒球エラスターゼは絨毛膜羊膜炎に先立つ頚管炎のマーカーとして臨床応用されている.当院では無症候性の頚管炎のスクリーニングとしてエラスターゼ定性法を妊娠中期でインフォームドコンセントを得た後全例に施行し,陽性例には外来での膣洗浄などで厳重に早産予防に努めている.これらの試みが早産予防に有用かどうか検討した.【方法】対象は1998年1月から2001年11月までに当院で分娩した妊婦のうち,早産の原因となるような母児合併症のない延べ416人である.エラスターゼ定性法を導入し始めた2000年9月に妊娠22〜28週となった妊婦から2001年11月までに分娩を終了した症例までをA群(N=165),それ以前をB群(N=251)とした.両群間の患者背景に有意差はなかった.両群間で塩酸リトドリン点滴による切迫早産管理を要した症例,早産症例数に差があるか検討した.さらにA群ではエラスターゼ定性陽性群と陰性群のあいだで頚管長,塩酸リトドリン点滴による切迫早産管理を要した症例数に差があるか検討した.統計学的検討はFisherの直接法を用いた.【成績】A群では早産症例はなかったが,B群での早産率は3.63%と有意に高かった(P<0.05).塩酸リトドリン点滴を要した切迫早産率はA群で5.5%,B群で4.0%と有意差はなかった.A群でのエラスターゼ陽性率は7.3%だった.エラスターゼ陽性群と陰性群のあいだで頚管長に有意差はなかった.塩酸リトドリン点滴を要した切迫早産率は陽性群で8.3%,陰性群で5.2%と有意差はなかった.【結論】A群で早産症例はなかったことよりエラスターゼ定性法による無症候性の頚管炎のスクリーニングと膣洗が早産予防に有効である可能性が示唆された.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(2)
175-175, 2002
|