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第103回学術集会(平成14年6月9日(日))
【一般演題】
周産期管理(1) 当院に母体搬送された症例に対する臨床統計的検討
山賀 明弘, 長瀬 寛美, 毛利 順, 植村 次雄
藤沢市民病院産婦人科
1994年4月から2001年3月までの7年間に当科へ母体搬送された妊娠22週以降の症例222例に対し,臨床統計的検討を行った.なお搬送例を除いた同期間の当院の分娩数は3,310例(以下院内例)である.母体搬送全体では1)搬送時平均妊娠週数は30.7±4.3週であった.2)搬送理由は上位より切迫早産44.5%,前期破水29.7%,妊娠中毒症9.4%,前置胎盤3.6%であった.搬送例と院内例を比較すると1)早産率は搬送例69.3%,院内例5.1%で前者が圧倒的に高かった.2)帝切率は搬送例43.7%,院内例10.7%で前者が有意に高かった.3)多胎率は搬送例1.2%,院内例1.9%と後者が有意に高かった.搬送元別は藤沢市内が38.2%(85例),市外が61.8%(137例)であった.1)電話連絡を受けてから患者到着までの平均所要時間は市内116.4±74.3分,市外183.2±167.1分で後者が有意に長く,約70分の差があった.2)搬送時平均週数は市内32.3±4.7週,市外29.7±3.6週で後者が有意に小さかった.3)妊娠34週未満の比率は市内57.6%,市外83.9%で後者が有意に高かった.4)搬送理由に胎児因子が関係した症例の比率は市内74.1%,市外96.3%で後者が有意に高かった.5)切迫早産または前期破水で送られた症例の比率は市内60.0%,市外83.2%で後者の方が有意に高かった.6)到着当日または翌日分娩に至った症例の比率は市内40.0%,市外40.1%で差はなかった.搬送例は院内例に比べて早産率が高く,帝切率も高率であった.また当院は市外からの搬送例が多く,その搬送理由として胎児因子に依存する症例が多いのが特徴であった.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(2)
176-176, 2002
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