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第103回学術集会(平成14年6月9日(日))
【一般演題】
胎児・新生児(1) 過去5年間における当院ハイリスク胎児外来の臨床統計
宮越 敬, 上原 克彦, 上野 和典, 西村 修, 清河 康, 田中 守, 吉村 泰典, 野澤 志朗
慶應義塾大学産婦人科
【目的】妊婦健診時における超音波スクリーニング検査の普及に伴い,その胎内診断に基づいた周産期管理は,児の予後改善に貢献するものと思われる.今回我々は,当院ハイリスク胎児外来における出生前診断の現状について検討した.【対象・方法】1997年1月より2001年12月までに総数288名(うち紹介例205名)がハイリスク胎児外来を受診した.このうち胎児異常を認めた212名(263病変)について,胎内診断とその正診率,出生後の予後等について検討した.【結果】部位別の正診率は各々,中枢神経系(42/45例,95%),顔面・頚部(28/32例,89%),呼吸器系(21/23例,93%),循環器系(39/56例,69%),腹部(26/30例,88%),泌尿器系(19/25例,77%),骨格系(13/19例,72%)であった.正確に診断しえなかった循環器系17例の内訳は,心室中隔欠損4例,心房中隔欠損2例,心内膜床欠損1例,大動脈縮窄2例,完全大血管転位2例,大動脈弁閉鎖2例,肺動脈弁閉鎖1例,三尖弁閉鎖2例,ファロー四徴症1例であった.胎内診断にて染色体異常を疑った27例に対して臍帯穿刺もしくは羊水穿刺を施行し,21,18および13トリソミーがそれぞれ1,12,1例に認められた.転帰は妊娠中絶および子宮内胎児死亡がそれぞれ18,10名であった.また生産児202名のうち新生児死亡は19名であり,保存的および外科的治療はそれぞれ35,23名に行った.【結論】中枢神経系,呼吸器系,顔面・頚部,腹部の異常は正診率が高率であった.しかし,循環器系のうち大血管系の異常は正診率が低く診断が困難であった.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(2)
180-180, 2002
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