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第103回学術集会(平成14年6月9日(日))
【一般演題】
胎児・新生児(2) Potter Syndromeと胎内診断したが,生後良好な経過を示した一例
鈴木 留美, 井深 京子, 岡田 喜親, 望月 修, 宇津 正二, 野田 恒夫
聖隷三方原病院産婦人科
今回我々は,著明な羊水過少を23週より認め,出生前にpotter syndromeと診断したにもかかわらず,帝切出生後良好な経過をを示している1例を経験したので報告する.症例;20歳,0経妊0経産.164cm,79.8kg.妊娠23週時より羊水過少を認め,妊娠25週時にAFI;3.0cmのため精査目的に紹介された.当院初診時(妊娠25週)超音波にて,EFBW;736g,AFI;1.0cm,膀胱を認めたが,腎は確認できなかった.MRIにて,右側腎欠損していたが,左側腎は痕跡程度に認められた.胎児の頭部,胸部,心臓,膀胱,その他に奇形は認められなかったが,胎盤の肥厚を認めた.以上よりPotter syndromeを強く疑い,両親に生命予後が非常に不良であることを説明したが,両親とも強く妊娠継続を希望したため,外来での頻回の妊婦検診にて経過観察した.更なるインフォームドコンセントを得た後,妊娠36週4日に選択的帝王切開術にて,2,466gの男児をAp;8−10で出産した.新生児は元気に啼泣したが,両側気胸となり,NICUにて呼吸管理を必要とした.胎児表面に緑色の胎便が付着していたのみで羊水は認めなかった.胎児は耳介低位と一部potter様顔貌を認めたが,四肢の変形,その他の奇形は認めなかった.左側腎長径は2cmと低形成であり,日齢1より尿排泄は認めたが,日齢3よりBUN,Crの上昇を認めたために腹膜透析,将来の腎移植を考慮しこども病院へ搬送した.現在,生後4カ月の時点で,特殊ミルクにて自宅養育されており,腹膜透析も必要とせずに経過は良好である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(2)
182-182, 2002
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