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第103回学術集会(平成14年6月9日(日))
【一般演題】
胎児・新生児(3) 診断に苦慮した胎児胎便性腹膜炎の2症例
瀬山 真智子1), 松田 義雄1), 伊藤 章子1), 橋口 和生1), 世川 修2), 安達 知子1), 太田 博明1)
東京女子医科大学産婦人科1), 東京女子医科大学小児外科2)
胎児胎便性腹膜炎は非常に稀な疾患であり,超音波所見上様々な像を呈するため胎内診断に苦慮することが多い.今回,我々は興味ある経過を示した胎児胎便性腹膜炎の2例を経験したので報告する.症例1:24歳0回経産.29週0日,前医で胎児腹腔内の腸管拡張像を指摘され,小腸閉鎖の疑いで当科入院.入院時には拡張した腸管以外明らかな異常はなく,羊水量も正常であった.2週間後に肝下面に単房性の嚢腫を認め,32週頃より羊水過多(AFI 34.0)も出現した.画像上,嚢腫内容に変化は認められたが,腹水や石灰化も明らかではなかった.34週0日3回の羊水除去後,発熱および遅発一過性除脈を認めたため,緊急帝王切開術を施行した.出生直後のX線写真では石灰化が認められた.日齢1で開腹術を施行し,回腸索状閉鎖を認め,嚢腫切除および回腸端端吻合を施行した.症例2:34歳1回経産.33週4日前医で胎児腸管周囲の高輝度エコーを指摘され,胎便性腹膜炎疑いで当科入院.入院時の超音波検査で腸管と腎盂の拡張,下腹部正中に5.2×5.5cmの嚢腫が見られた.腹水,石灰化,羊水過多は経過観察中いずれも認められなかったが,妊娠35週0日遅発一過性除脈が出現し,前回帝王切開の既往もあり,妊娠35週2日帝王切開術施行となった.出生当日に施行した上部消化管造影にて空腸の拡張と途絶がみられ,また腹部膨満も次第に増強したため,同日緊急開腹術が施行された.壊死化した回腸が腹膜,肝臓,胃,膀胱と癒着しており,空腸離断型閉鎖を認めた.出生前の嚢腫は腹膜炎により周囲と強固に癒着した膀胱であり,り,胎内では腹膜炎による影響を受けていたと思われた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(2)
183-183, 2002
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