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第103回学術集会(平成14年6月9日(日))
【一般演題】
胎児・新生児(5) 妊娠13週で発生した一絨毛膜二羊膜性双胎一児死亡の生存児に多発性梗塞を認めた一例
青山 美加1), 武居 麻紀1), 大山 俊樹1), 木田 博勝1), 木村 昭裕1), 瀬戸山 琢也2), 山中 美智子2)
済生会横浜市南部病院産婦人科1), 神奈川県立こども医療センター周産期医療部産科2)
双胎一児子宮内胎児死亡(IUFD)は,特に一絨毛膜性双胎において,生存児へ神経学的後遺症などの影響を及ぼす場合があるとされる.その機序は様々な因子の関与が推測されており,いまだ一定した管理方針を定められないのが現状である.今回,妊娠13週頃に一絨毛膜二羊膜性(MD)双胎一児IUFDが発生し,妊娠16週で生存児の脳室拡大が疑われ,妊娠19週で人工妊娠中絶された児の肺や脾臓に多発する梗塞を認めた一例を経験した. 症例は29歳,2回経妊2回経産.妊娠8週6日の超音波でMD双胎と診断,CRLは各19mm,18mmであった.妊娠10週6日のCRLは各39mm,33mm,いずれも胎児心拍を認めた.妊娠14週0日,一児の心拍が消失しており,生存児のBPDは27mmと週数相当,死亡児のBPDは22mmで13週相当と,約1週間の間に発生した一児IUFDと推測された.妊娠16週3日,生存児の脳室拡大が疑われた.高次病院での精査でも同様の所見で,脳室拡大以外に明らかな構造異常を認めなかった.児の予後の推測は困難であったが,ご夫婦が妊娠の継続を希望しなかったため,妊娠19週6日,255gと20gの児を死産した.IUFD児の臍帯は卵膜付着であり,血管吻合の有無は評価できなかった.ご夫婦の同意を得て剖検を施行,生存児の肺,脳,脾臓に多発性梗塞を認め,胎内塞栓症の可能性が考えられた.また,脳室拡大そのものの厳密な機序は不明だが,塞栓症の関与も疑われた.比較的早い妊娠週数であり,この剖検所見からただちに,児の予後が不良であるとは言えないが,妊娠13週で発生したMD双胎一児IUFDにおける生存児への影響を確認したという点で貴重な一例と考えたので報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(2)
185-185, 2002
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