|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第103回学術集会(平成14年6月9日(日))
【一般演題】
胎児・新生児(5) 一児人魚体シークエンス,一児正常児であった二絨毛膜二羊膜性双胎児の一例
玉川 有美, 杉本 雅樹, 村上 聡, 西出 健, 久保 惣平
国立西埼玉中央病院産婦人科
人魚体シークエンスは尾部退行症候群ともよばれ,下肢癒合・両側腎無形成・鎖肛等の多発奇形を呈することが知られている.今回我々は一児人魚体シークエンス,一児正常児を得た二絨毛膜二羊膜性双胎の一例を経験したので文献的考察を加え報告する.症例は22歳の初産婦.妊娠17週1日他医より紹介されたが,初診時既に両児に二週相当の発育差を認めた.超音波上一児は膀胱・腎を認めず,高度の羊水過少を呈していた.又,大腿骨は2本同定できたが下腿の癒合が強く疑われた.他方の児には明らかな異常を認めなかった.discordant rateは次第に増大し,妊娠31週2日には40%に達したが,両児とも胎児仮死徴候はみられず経過観察していた.妊娠36週1日,正常児の潜在性胎児仮死を適応に帝王切開術を施行した.第一児出生時体重2,180g,女児,Apgar score1分後5点,5分後8点.第二児出生時体重1,090g,性別不明,Apgar score1分後0点,5分後1点.第二児は術前診断通り下肢癒合・鎖肛・腎無形成を認め,出生9時間後呼吸不全のため死亡した.正常児は低出生体重児のためNICU入院となったが経過良好であった.人魚体シークエンスは致死的な疾患である.本症例は出生前診断が可能であったため,他児の予後を考慮し,妊娠36週まで娩出を待機した.初期に膜性診断がなされておらず,管理上苦慮したが結果的には二絨毛膜性双胎であったことも正常児が良好な予後を得られた要因と考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(2)
186-186, 2002
|