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第103回学術集会(平成14年6月9日(日))
【一般演題】
胎児・新生児(6) 品胎管理における塩酸リトドリン使用に関する一考察
中山 摂子, 坂井 昌人, 竹田 善治, 高橋 祐子, 佐々木 康, 森本 千恵子, 林 崇, 中林 正雄
総合母子保健センター 愛育病院産婦人科
β2刺激剤である塩酸リトドリン(ウテメリン)は切迫早産治療薬として広く使用されているが,最も重篤な副作用の一つに肺水腫が挙げられる.今回我々は品胎の切迫早産管理のために妊娠28週よりウテメリンを使用した患者に肺水腫を合併した一例を経験したので報告し品胎管理について考察する.(症例)31歳,初任,不妊治療にてクロミッド+HCG治療を受け,品胎妊娠に至る.14週シロッカー氏頚管縫縮術施行,27週管理入院,28週2日子宮収縮出現のためウテメリン50γ/hにて使用開始,29週4日感冒に伴う発熱出現,翌日も39℃代の発熱が持続したため補液ラクテック1,000mlを施行.29週6日,突然の激しい呼吸苦出現,血液ガスモニターにて酸素飽和度は80%代まで低下,酸素投与にても改善せず,同時に胎児に持続性徐脈を認めため肺塞栓を疑い,気管内挿管を行いつつ緊急帝王切開を施行,3児とも新生児仮死の状態で娩出し,直ちに挿管管理となった.母体は児娩出後,徐々に酸素化が改善したため,術後精査目的にて救命救急センターへ転送,肺塞栓,肺炎の所見は認められず,ウテメリン及び輸液に伴う肺水腫と診断.術後2日目肺水腫軽快のため抜管した.(考察)ウテメリン投与量は比較的少量であったにもかかわらず品胎妊娠による循環血液量の増大,感冒による血管透過性亢進,補液過剰等が引き起こした肺水腫と考えられた.ウテメリンを用いた多胎の切迫早産の管理には基本である尿量およびインアウトバランスのチェック,定期的な胸部レントゲン撮影に加えて週一回程度の血液ガス分析と頻回の酸素飽和度チェックが必要であると考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(2)
187-187, 2002
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