|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第104回学術集会(平成14年10月19日(土),20日(日))
【一般演題】
妊娠合併症(自己免疫疾患・その他) 抗リン脂質抗体症候群合併妊娠患者に低分子ヘパリノイドによる抗凝固療法を施行した2症例
尾松 公平, 杉村 基, 磯村 直美, 久保 愛子, 金森 隆志, 水主川 純, 加藤 誠, 須床 知恵, 茂庭 将彦, 小林 隆夫, 金山 尚裕
浜松医科大学産婦人科
抗リン脂質抗体症候群(APS)などの後天性血栓傾向を有する患者の妊娠は高率に子宮内胎児発育不全(IUGR),早期発症型妊娠中毒症を発症することが報告されている.妊娠中に低分子ヘパリノイドによる抗凝固療法を施行した原発性APS,続発性APSの各々1例について臨床的検討を行った.症例1は,36歳,0経妊0経産,深部静脈血栓症を発症し他院にて原発性APSと診断されていた.最終月経を平成13年9月20日として妊娠.妊娠初期より低用量アスピリンとヘパリンを使用した.TAT値は10ng/ml前後を推移し,子宮動脈Pulsatile Index(PI)も+1.0SD内で推移した.妊娠24週より低分子ヘパリノイドに変更し,半減期を考慮し妊娠37週にヘパリンへ変更,妊娠38週にて経膣分娩に成功した.児は3088gであった.症例2は,37歳,0経妊0経産,18歳でSLEと診断された.続発性APSと診断のもとプレドニンの内服加療が続けられていた.平成13年9月末を最終月経として妊娠.妊娠8週より低用量アスピリン内服とヘパリンを使用.妊娠22週より低分子ヘパリノイドに変更した.TAT値は10ng/ml前後を推移し,PIも+1.0SD内で推移した.妊娠30週6日SLEのコントロール不良を適応に帝王切開術を施行.児は1184gのIUGRであった.APSにおいて抗凝固療法による妊娠初期のトロンビン形成の抑制は母児の予後を改善する可能性がある.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(3)
237-237, 2002
|