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第104回学術集会(平成14年10月19日(土),20日(日))
【一般演題】
妊娠合併症(自己免疫疾患・その他) ベーチェット病合併妊娠の一例
川上 香織, 紅露 有子, 宮田 真千子, 中村 秋彦, 冨久 尾信
国立横浜病院産婦人科
ベーチェット病の増悪に妊娠が関与する可能性についてはこれまでにいくつか報告があるが,はっきりとした結論は出ていない.今回我々は妊娠経過中に外陰部潰瘍が出現し,不全型ベーチェット病と診断し得た症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.症例は33歳の初産婦で平成13年6月2日を最終月経として妊娠し,近医で妊婦健診を受けていた.妊娠4ヶ月頃より外陰部の違和感を感じていたが,妊娠30週に外陰部の疼痛が高度となり,平成14年1月4日(妊娠30週6日)に当科へ初診となった.黄褐色の帯下が増量し,右側小陰唇の浮腫が著明で小陰唇内側から膣壁にかけて4cm大の疼痛を伴う外陰部潰瘍を認め,一部,小陰唇の外側に穿通した状態であった.潰瘍の表面は膿性の分泌物で覆われ,自発痛強く歩行も困難な状態であったため入院管理とした.下肢の毛嚢炎様皮疹,口内炎の所見からベーチェット病不全型と診断した.局所の洗浄と抗生剤投与で浮腫は消失したが疼痛は継続し,潰瘍の拡大傾向も見られたため,プレドニゾロン20mg/日の経口投与を開始した.疼痛は数日で消失し潰瘍の拡大も抑制されたため,プレドニゾロンは漸減し,1月21日(33週2日)に退院,以後,外来管理とした.3月18日(妊娠41週2日)分娩誘発を行ったが分娩は進行せず,胎児切迫仮死徴候が認められたため帝王切開を行い,3136gの女児をAS 8で娩出した.産褥経過は順調で潰瘍部は縮小したが,穿孔部は閉鎖せず現在も皮膚科で治療中である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(3)
239-239, 2002
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