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第104回学術集会(平成14年10月19日(土),20日(日))
【一般演題】
妊娠合併症(感染症) 帝王切開術後に発症した壊疽性膿皮症の1例
大内 秀高, 高石 光二
市立甲府病院産婦人科
壊疽性膿皮症は主に手術などの創部からおきる,まれな炎症性疾患である.手術後数日し創部感染のごとく膿を排出しながら離開し,急性に悪化していく.まず初期には創部感染と考えられるため,抗生物質を投与するが,感染ではないため当然治療には反応せず,デブリードマンをすればさらに悪化の一途をたどる.診断は,臨床所見のみで,免疫抑制療法が良く効くこともその一つである.したがって早期診断が困難なため,あらかじめこの疾患を念頭におくかどうかが大切である.今回,当科で経験した症例を報告する.症例は,2妊1産の30歳.当院外科においてバセドウ病で手術の既往があるが,術後発熱を認めているものの自然軽快し,創部離開などはなかった.前回分娩は分娩進行停止で緊急帝切を施行したが,術後1日目より38.5℃以上の発熱を認めた.抗生物質の変更とNSAIDで術後4日目には軽快し,5日目に抜糸,その後も異常ないため8日目に退院した.それ以後も創部に異常はなかった.今回分娩は前回帝切のための予定帝切であった.手術は特に問題なく終了した.術後3日目から38.0℃程度の発熱はあったが,創部の状態はよく,4日目には抜糸し,5日目に退院した.術後7日目より創部より膿状分泌液が排泄され,発熱もひどくなり再入院した.創部の細菌培養では陰性で,抗生物質にも反応しなかった.これまでの原因不明の術後発熱から,感染よりも免疫的な反応の可能性を考え,局所にステロイド剤を併用してみた.使用した創部の方が改善を認めたため全身投与に切り換え,臨床症状は軽快した.合併疾患についても検索したが,特に問題なかった.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(3)
241-241, 2002
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