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第104回学術集会(平成14年10月19日(土),20日(日))

【一般演題】
妊娠合併症(感染症)
分娩時発生した膣創部無縫合の試み


高石 光二, 大内 秀高, 大木 泉
市立甲府病院産婦人科


目的:子宮全摘時に膣断端を無縫合で終えてもいずれは自然治癒閉鎖すること,分娩時多数の裂傷が発生し縫合不十分であったと判断した症例も後に診ると完全に癒合治癒していること,助産所で分娩時発生した膣裂傷は無縫合で自然治癒を待つこと等から膣のすばらしい治癒能力に期待し,分娩時に発生した膣裂傷や会陰切開時の膣縫合は必要ないのではないかと考えた.方法:膣創部よりの出血は3−0バイクリルラピッドで出血点のみ縫合止血する.出血部位以外は無縫合とし,会陰部は処女膜瘢痕部より手前を3−0バイクリルラピッドで皮下埋没連続縫合か,3−0バイクリルラピッドで皮下埋没結節縫合後3−0ナイロンで皮膚結節縫合した.3度,4度裂傷ではそれぞれ括約筋縫合や直腸縫合をした後,前述の方法で会陰縫合した.また3度,4度裂傷では抗生剤投与をするが,それ以外は投与しなかった.結果:会陰切開時や1度の膣裂傷を含め,鉗子,吸引分娩で2〜4度裂傷を発生し,膣円蓋まで裂傷が及んだ産婦においてさえも感染や血腫形成はなく,また一か月健診では膣はほぼ完全に修復されており,褥婦自身も不都合を訴えることはなかった.膣円蓋まで裂傷が及んだ産婦数人は3か月後に再診したが完全に治癒しており,不都合の訴えもなかった.考察:無縫合が長期的にどのような結果をもたらすかは不明である.しかしながら短期的には産婦本人および医療従事者にとっても負担の軽減となり試みても良いのではと考えている.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(3) 241-241, 2002


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