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第104回学術集会(平成14年10月19日(土),20日(日))
【一般演題】
妊娠合併症(婦人科疾患) ワーファリンと低分子ヘパリンを併用し管理した深部静脈血栓症の一例
橋本 玲子, 鈴木 典子, 百村 麻衣, 近藤 憲一, 尾崎 恒男, 酒井 啓治, 土屋 清志, 高橋 康一, 岩下 光利, 中村 幸雄
杏林大学産婦人科
妊娠中の深部静脈血栓症の管理には,通常ヘパリンが用いられるが,本邦において皮下投与用ヘパリン製剤がないため,長期入院を余儀なくされる.今回,十分なインフォームドコンセントの後,胎児への影響が少ない期間にワーファリンを投与し,外来管理を行った深部静脈血栓症の一例を報告する.【症例】28歳,1経妊 1経産.【家族歴・既往歴】特記事項なし.【現病歴】妊娠9週に左下肢の浮腫,腓腹筋痛のため近医を受診,深部静脈血栓症(DVT)の疑いにて平成13年12月11日(妊娠11週2日)当院紹介,同日入院となった.入院時理学的所見:特記なし血液検査所見:Hb10.0g/dl,Ht31.1%,RBC381×104/μl,WBC9.5×103/μl,PLT45.1×104/μl,PT44.0%,APTT54.1 sec,フィブリノーゲン524mg/dl,FDP14μg/ml,トロンボテスト11% CRP0.1mg/dl,超音波,MRAにより左総腸骨静脈から膝窩静脈,下腿深部静脈に血栓形成を認め,DVTと診断し低分子ヘパリンによる抗凝固療法を開始した.妊娠14週より弾性ストッキング着用による圧迫療法とワーファリンによる外来治療管理へ移行した.妊娠33週より低分子ヘパリンに再度切り替えた.MRA再検査により閉塞の範囲は縮小し改善傾向がみられた.妊娠39週3日自然陣痛発来し,3230gの男児を正常分娩,アプガールスコア8点であった.低分子ヘパリン投与は,子宮口全開から産後1時間を除き,産後3日まで継続した.その後は現在までワーファリン内服中である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(3)
245-245, 2002
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