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第104回学術集会(平成14年10月19日(土),20日(日))
【一般演題】
妊娠合併症(血液疾患) 先天性第VII因子欠乏症合併妊娠の一例
永井 敦, 磯 和男, 芥川 修, 糸数 功, 鈴木 良知, 井坂 恵一, 高山 雅臣
東京医科大学産婦人科
先天性第VII因子欠乏症はPTが延長,APTTが正常を示す,唯一の先天性凝固因子欠乏症で,1951年,B. Alexanderらにより最初の症例が報告された.今回我々は本症例が自然妊娠し,正常経膣分娩に至った症例を経験したので報告する.【症例】27歳女性0経妊0経産,先天性第VII因子欠乏症にて当院臨床検査医学科において外来管理を行っていた.幼少時より高度の異常出血を繰り返し,出血時には第VII因子を含有するプロトロンビン複合体製剤(プロプレックスST)経静脈的投与にて,止血管理を行っていた.2001年8月28日から10日間を最終月経にて妊娠.以後,当院臨床検査医学科と連携をとりながら,妊娠管理を行っていた.妊娠経過中は主に,第VII因子,FDP,PT,APTT等を指標として管理を行った.妊娠経過は初期,中期を通して児の発育も良好で,母体にも異常出血などは見られなかった.分娩直前にプロトロンビン複合体製剤(プロプレックスST)を経静脈的投与し,妊娠40週4日にて2728g男児を正常経膣分娩した.産後2時間の出血量も分娩時と合わせて118mlであった.産褥期も特に異常出血等認めず,産褥5日目に母子ともに退院となった.【結語】先天性第VII因子欠乏症は極めて稀な疾患であり,合併妊娠の報告は少ない.今回我々は妊娠時より管理し,分娩,産褥まで経過を追った,先天性第VII因子欠乏症合併妊娠の一例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(3)
246-246, 2002
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