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第104回学術集会(平成14年10月19日(土),20日(日))
【一般演題】
妊娠合併症(血液疾患) 妊娠22週に発症した急性リンパ性白血病の症例の検討
山口 昌子, 山田 隆, 八田 充子, 米山 芳雄, 澤 倫太郎, 朝倉 啓文, 荒木 勤
日本医科大学産婦人科
急性リンパ性白血病(acute lymphoblastic leukemia,以下ALL)は,骨髄において未分化な造血幹細胞が腫瘍化して,骨髄の正常造血が制限され骨髄不全に陥る疾患であり,妊娠経過中の発症頻度は10万分の1と推定されている.近年ALLの治療成績は向上しており,妊娠中の発症例も化学療法にて完全寛解後,母児共に順調に経過している症例も散見されるようになった. 症例は40歳,3回経妊2回経産.他院にて妊娠経過中,全身倦怠感,四肢・体幹の点状出血と紫斑,鼻・歯肉出血出現,白血球数の著明な上昇も認め,妊娠22週2日当科紹介入院となった.入院時末梢血WBC 87700/μl(blast 87%,neutro 3%),RBC 340×104/μl,Hb 9.6g/dl,Plt2.0×104/μl,骨髄穿刺ではN/C比大の小型の芽球が81.2%を占め,ALL(L1)と診断.母体の治療を優先に妊娠継続しつつ,妊娠22週6日よりAdVP療法(ADM20mg/m2,VCR 1.4mg/m2,PSL 40mg/m2)を開始,治療開始28日目の骨髄穿刺にて寛解を確認した.妊娠26週4日より地固め療法2クール施行後退院し,現在外来管理下に強化化学療法を施行,寛解を維持している.超音波検査上,胎児の奇形,子宮内胎児発育遅延および羊水の異常等は認められず,また切迫早産徴候もなく現在妊娠36週に至るが,特に格変なく順調に経過している. 今回我々は,妊娠22週にALLを発症後,化学療法にて完全寛解に至り,その後順調に経過している症例を経験し,若干の考察を踏まえ報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(3)
248-248, 2002
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