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第104回学術集会(平成14年10月19日(土),20日(日))

【一般演題】
妊娠合併症(血液疾患)
妊娠継続が困難であった遺伝性血管神経性浮腫(hereditary angioneurotic edema:HANE)合併妊娠の1例


高島 明子, 桝谷 法生, 横山 安哉美, 矢野 ともね, 大高 究, 木下 俊彦, 伊藤 元博
東邦大学佐倉病院産婦人科


(緒言)遺伝性血管神経性浮腫(hereditary angioneurotic edema:HANE)は常染色体優性遺伝形式をとり,補体第一因子(C1-inhibitor;C1-INH)の蛋白量の減少或いは機能異常に基づいて発症する稀な疾患である.本疾患では,外傷,寒冷,運動,感染,月経などが誘因となり,反復して全身の浮腫や腹痛,乏尿,精神神経症状,呼吸困難等を呈する.エストロゲンは血中C1-INH値を低下させ浮腫発作の誘発要因となるが,妊娠中に本疾患が増悪した例は少ない.今回HANE合併妊娠で症状の増悪をみた1例を経験したので報告する.(症例)26歳,0回経妊.14歳よりHANEの孤発例の診断にてトラネキサム酸,ダナゾール内服治療するも腹痛発作をしばしば繰り返していた.妊娠成立にて6週よりダナゾールの内服を中止したところ,妊娠12週頃から腹痛発作の増悪傾向認められた.トラネキサム酸の投与を繰り返したが,発作が頻回な為,妊娠継続は困難と判断し,妊娠15週に人工妊娠中絶を行った.血中C3,C4の変動は見られなかった.予防的に乾燥濃縮人C1−アクチベーター製剤を投与し,トラネキサム酸を点滴投与しながら管理したところ,処置中の腹痛発作は認めなかった.胎児及び胎盤に異常所見は認められなかった.分娩後は症状の増悪なく経過した.(考察)HANEは稀な疾患であるが,エストロゲンが増悪因子となる為,その妊娠管理は慎重に行うべきと考えられた.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(3) 249-249, 2002


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