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第104回学術集会(平成14年10月19日(土),20日(日))
【一般演題】
妊娠合併症(心疾患) 先天性左冠動脈口閉鎖症合併妊娠の一例
倉澤 健太郎1), 遠藤 方哉1), 春木 篤2), 石川 浩史2), 安藤 紀子2), 高橋 恒男2), 平原 史樹2)
横浜市立大学産婦人科1), 横浜市立大学附属市民総合医療センター産婦人科2)
冠動脈異常はきわめて稀な先天異常であり,成人例では狭心痛・心筋梗塞併発後,あるいは突然死例にて診断されることが多い.今回,我々は13歳時に先天性左冠動脈口閉鎖症と診断され,その後通院のないまま妊娠し,当院にて妊娠分娩管理を行った症例を経験したので報告する.【症例】31歳.0回経妊0回経産【現病歴】生後6ヶ月に心雑音を指摘されたが放置.3歳時に心臓カテーテル検査にて,先天性孤立性僧帽弁閉鎖不全症と診断された.中学のクラブ活動適否の精査では,トレッドミルでI,V4,V5,V6でST低下を認め,種々の検査にて先天性左冠動脈口閉鎖症の診断となり,学童期は競技的な運動の制限のみで経過観察していた.妊娠初期・中期の経過は順調で,妊娠34週でのホルター心電図・超音波上とくに異常所見は認めなかった.循環器科・麻酔科と協議した結果,陣痛発作時の心負荷を避けるため硬膜外麻酔を行う方針として,妊娠38週6日入院となる.【入院後経過】腹緊に伴い呼吸困難感自覚するも心電図上変化なく,心機能モニタリングを行いながら硬膜外麻酔・オキシトシンによる分娩誘発を施行.高度変動一過性徐脈認めたため,同日緊急帝王切開術施行し,2698gの女児を娩出した.児娩出後,約5分間にわたり胸部違和感を自覚し,心電図上でもV5でST低下を認めたため,狭心症と診断.直ちにnitroglycerin投与を開始した.その後は虚血発作を認めず,母児ともに経過良好なため術後8日で退院した.虚血性心疾患合併妊娠は,児の娩出前後の静脈還流量の変動と心拍出量の変動に十分留意し,循環器科・麻酔科との連携管理が重要である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(3)
254-254, 2002
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