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第104回学術集会(平成14年10月19日(土),20日(日))
【一般演題】
卵巣悪性腫瘍1 卵巣明細胞腺癌から高カルシウム血症をきたした1症例
名倉 智, 板垣 智昭, 長谷川 明俊, 西 健, 依田 暁, 満川 元一
水戸赤十字病院産婦人科
卵巣癌の高カルシウム血症合併は少ないとされるが,そのなかで卵巣明細胞腺癌には高カルシウム血症の合併が多いとされている.今回我々は,卵巣明細胞腺癌に高カルシウム血症を認めた症例を経験したので報告する. 症例は48歳,0経妊,平成13年夏頃より腹部緊満を自覚,徐々に増強し12月上旬食欲低下,口渇,体力低下を自覚し近医受診.卵巣原発腫瘍が疑われ12月29日当科紹介受診となる.入院後,口渇感に加え傾眠傾向等の精神症状を認め血液検査上高Ca血症及びPTHrP高値を認めた.このため,高Ca血症に対しビスホスフォネート製剤を投与し,Ca値は正常化し精神症状も改善した.卵巣腫瘍に関してはCA125,CA602の高値を認め,画像上6.0×5.0cm大の左卵巣腫瘍を,また転移性肝腫瘍像及び著明な腹膜播種像認め卵巣癌と診断,PS不良なためsalvage療法としてCDDP IPを施行.NCのためやむを得ず2月19日開腹し両側付属器切除術,大網部分切除術,骨盤リンパ節郭清,肝表面転移巣部分除去術,リザーバー設置術を施行したがbulky diseaseであった.術中腹水細胞診はclass V,病理組織診断にてclear cell adenocarcinoma,stage IIIcであった.術後CDDP IP+CPT-11 IV+MMC IVの化学療法を開始したが全身衰弱,全身状態は悪化し5月16日死亡した. 本症例より,卵巣癌に高Ca血症を合併する症例においては,管理上その高Ca血症という病態も考慮する必要があると考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(3)
257-257, 2002
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