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第104回学術集会(平成14年10月19日(土),20日(日))
【一般演題】
卵巣悪性腫瘍1 卵巣癌肉腫の一例
武隈 宗孝, 小泉 るい, 村上 浩雄, 高橋 伸卓, 松井 浩之, 芹沢 麻里子, 山下 美和, 岡田 喜親, 前田 真, 佐倉 東武
県西部浜松医療センタ−産婦人科
上皮性間葉性混合腫瘍は,同一腫瘍内に上皮性成分と間葉系成分が混在する腫瘍であり,消化器系,呼吸器系,乳腺,泌尿生殖器系など,様々な臓器に発生する.中でも子宮原発の上皮性間葉性混合腫瘍は,上皮組織と間葉系組織の混合体へと分化するミュラー管から発生しているため,ミュラー管混合腫瘍と呼ばれ多くの報告がなされている.しかし卵巣原発の同腫瘍は極めて稀でその報告は少ない.今回我々は,術前診断卵巣癌のもとに手術を行い,病理学的に卵巣癌肉腫の診断に至った症例を経験したので報告する. 症例は59歳,2経妊1経産.2001年10月上旬から不正性器出血を認め,10月17日当院初診.内診上,子宮は萎縮しており,右付属器に腫瘤を触知した.経腟超音波検査にて径5cmの充実性部分を伴う嚢胞性腫瘤が認められ卵巣癌を強く疑った.一方,MRI所見では内腔に凝血塊を含んだ卵管留水腫と診断され,外来経過観察とした.12月26日外来診察時には変化なし.CA125値:19U/ml,およびCA 19−9値:0U/mlであった.2002年2月20日経腟超音波にて腫留は径10cm以上に増大,MRI所見で出血性の卵管留水腫を伴った右卵巣癌が疑われ手術予定とした.3月13日手術施行.腹腔内に中等量の腹水と出血を認め,骨盤内は強度に癒着していた.また腫瘍は右付属器から発生し卵管,卵巣の区別は不可能で,小児頭大にまで腫大していた.術後病理所見では,右卵巣に上皮性悪性病変とともに異型性を認める軟骨病変が認められ,卵巣原発癌肉腫と診断した.その後EtoposideおよびCBDCAの2剤併用化学療法続行中である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(3)
258-258, 2002
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