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第104回学術集会(平成14年10月19日(土),20日(日))

【一般演題】
卵巣悪性腫瘍1
腹腔鏡手術創部腹壁に再発をきたした卵巣癌の症例


善利 史子, 井村 昌義, 石山 巧, 中川 俊介, 大須賀 穣, 久具 宏司, 西井 修, 堤 治, 武谷 雄二
東京大学産婦人科


 腹腔鏡による悪性腫瘍の診断,治療が,世界的に普及している今日,腹腔鏡下術後のTrocar挿入部等への再発port-site転移の報告が散見されport-site metastasis(PSM)という用語が一般的に用いられるようになってきた.開腹術における腹壁再発と同様の性格のものもあれば,PSM固有の特徴も報告されている.婦人科癌に限ると,卵巣癌に対する腹腔鏡手術後の報告が比較的多いが,子宮癌の症例報告もある.今回,卵巣悪性腫瘍の腹腔鏡補助下手術後,port site転移によると思われる再発を来たした症例を経験したので報告する.子宮内膜症でGnRH analogueの治療歴のある患者に,卵巣嚢腫を認め,両側子宮内膜症性嚢腫の診断で,腹腔鏡補助下卵巣嚢腫摘出術を施行した.術後の病理組織診断にて漿液性腺癌と診断され,Restaging laparotomyを施行し,残存病変が無い事を確認した.術後診断Ovarian cancer1b(c)にて,術後化学療法(CJ療法6コース)を行ない,手術後17ヶ月目(化学療法13ヶ月後)に腹腔鏡手術時のポート部位に一致した腫瘤を認めた.単独病変と評価し,手術後20ヶ月目(化学療法16ヶ月後)腹腔鏡補助下にて再手術を行った.腹腔内には肉眼的に明らかな病変は認めず,また腫瘤も腹直筋筋層内に限局し,摘除しえたが,腹腔内細胞診は陽性(classV 漿液性腺癌)であった.病理学的にも再発と診断され,現在術後化学療法(TJ療法)中であり再発の徴候を認めていない.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(3) 259-259, 2002


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