|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第104回学術集会(平成14年10月19日(土),20日(日))
【一般演題】
卵巣悪性腫瘍2 妊娠に合併した卵巣Sertoli-Leydig cell tumorの1例
藤井 和之1), 水本 賀文1), 高橋 宏典1), 秦 俊昭1), 酒井 優2), 提坂 敏昭1)
自衛隊中央病院産婦人科1), 同病理2)
(緒言)Sertoli-Leydig cell tumorはアンドロゲンを産生する男性化腫瘍の1つで,全卵巣腫瘍の約0.1%に認める比較的稀な腫瘍であり,妊娠に合併した報告はきわめて稀である.今回われわれは,妊娠後期にはじめて健診で巨大骨盤内腫瘤を認め,術後診断にてSertoli-Leydig cell tumorであった稀有な1例を経験したので,文献的考察を加え報告する.(症例)34歳,2G2P.家族歴,既往歴,分娩歴は特記事項なし.最終月経:平成13年4月11日から6日間.分娩予定日:平成14年1月4日.妊娠初期より,特に異常なく経過するも,平成13年10月30日(妊娠30週3日)の妊婦健診にて骨盤内に径14cm×12cm大の腫瘤を認め,MRI検査で卵巣腫瘍と診断し,平成13年11月14日(妊娠32週4日)に帝王切開術+左卵巣摘出術+右卵巣wedge resectionを施行し,1738gの女児を出生した.児のApgarは1分後8点,5分後9点で奇形及び男性化徴候は認められなかった.術後病理検査で,Sertoli-Leydig cell tumor(左卵巣)Stage Iaと診断した.なお患者の子宮温存の意志強く,以後厳重に外来にて経過観察中であり,現在のところ再発徴候は認められず,妊娠期間中母体の男性化徴候も認められなかった.(考察)今回われわれは,妊娠に合併したSertoli-Leydig cell tumorの稀有な1例を経験した.今回の症例は,母児ともに男性化徴候を認められず,非特異的であったが,約20%は悪性化するとの報告もあり,今後厳重な治療管理が必要であると思われる.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(3)
259-259, 2002
|