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第104回学術集会(平成14年10月19日(土),20日(日))
【一般演題】
卵巣悪性腫瘍2 FDG-PET診断を施行した卵巣腫瘍症例の検討
片山 雄三, 宮城 悦子, 助川 明子, 鈴木 理絵, 菅原 智香, 小野瀬 亮, 平原 史樹
横浜市立大学産婦人科
【目的】FDGを用いたpositron emission tomography(FDG-PET)は,各種悪性腫瘍の診断に有用であるが,卵巣腫瘍における意義は未知の部分が多い.今回当施設でFDG-PETを施行した卵巣腫瘍8例の検討により,術前診断や再発腫瘍評価方法としてのFDG-PETの有用性を明らかにすることを目的とした.【方法】文書による同意を得てFDG-PET検査を施行した卵巣腫瘍8例(術前全身精査3例,再発精査5例)について,他の画像診断との比較,臨床経過との関連を検討した.【成績】術前全身精査症例で,両側副腎腫大を伴いMRI上悪性が疑われた直径10cmの卵巣腫瘍例はFDG-PET陰性で,術後診断は良性粘液性腺腫であった.術前頚部リンパ節吸引細胞診陽性で原発腫瘍精査としてFDG-PETを行った症例では,左骨盤内にFDGの強い集積が認められ,手術で左卵巣腺癌と診断された.腟扁平上皮癌と卵巣腫瘍合併例で,化学療法後に腟癌は消失し骨盤内にFDGの有意な集積が認められた症例は,術後病理結果で腟癌と異なる卵巣境界悪性粘液性腫瘍と判明した.再発精査の5例中4例はCA125が上昇しており,CTで予測された病変はすべてPET陽性であった.CT陰性部位にFDGの集積が認められた2例では,後に病変の進展が認められた.寛解の判定にPET陰性を参考とした1例は,無病生存中である.【結論】FDG-PET診断は,卵巣腫瘍術前の病変の広がりの評価や卵巣癌再発部位の同定に極めて有用であることが判明した.今回,境界悪性卵巣腫瘍の1例にFDGの集積が認められたことより,今後さらに各種組織型卵巣腫瘍における検討が必要であると考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(3)
260-260, 2002
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