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第104回学術集会(平成14年10月19日(土),20日(日))
【一般演題】
卵巣・卵管悪性腫瘍 extraovarian peritoneal serous papillary carcinomaの二例
沼崎 令子, 岡本 真知, 深澤 由佳, 神田 義明, 住友 和子, 近藤 芳仁, 飛鳥井 邦雄
横浜南共済病院産婦人科
extraovarian peritoneal serous papillary carcinoma(以下EPSPC)は卵巣漿液性腺癌と類似した癌が腹膜に発生し腹腔内に播種した病態で,卵巣には原発病巣を欠如する臨床病理学的疾患である.今回我々はEPSPCの2例を経験したので報告する.症例1:61歳,3回経妊3回経産.平成13年4月子宮癌検診にて初診.不正出血などの自覚症状はなく,内診所見も異常を認めなかった.子宮頸部,内膜細胞診はclassVでともに腺癌細胞を認めた.子宮内膜,頸管内膜組織診にてserous papillary carcinomaであり,子宮体癌の診断で開腹術施行.肝表面,腸間膜,直腸前面漿膜に直径1cm以下の播種性病変を認めたため,単純子宮全摘術,両側付属器摘出術,大網切除術を施行した.摘出標本では子宮,両側卵巣に原発と考えられる悪性所見は見られず,大網に子宮内膜組織診と同様の腫瘍細胞を認めた.EPSPCと診断し,パクリタキセル・カルボプラチン療法(以下TJ)を施行した.症例2:75歳,2回経妊2回経産.平成13年9月胸腹水貯留のため初診.卵巣癌の診断にて開腹術施行するも癒着著明にて大網生検のみ行う.TJ療法6コース施行し平成14年1月単純子宮全摘術,両側付属器摘出術,大網切除術を行った.腹腔内に播種所見がみられたが,摘出標本では子宮,両側卵巣に原発と考えられる悪性所見はなく,EPSPCの診断でweekly TJ療法にて追加治療中である.EPSPCにつき文献的考察を加え報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(3)
264-264, 2002
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