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第104回学術集会(平成14年10月19日(土),20日(日))
【一般演題】
子宮頚部悪性腫瘍1 子宮頚部乳頭状扁平上皮癌の1例
山上 亘, 岩橋 和裕, 富田 明代, 加藤 直子, 北岡 芳久, 郡山 智, 白石 悟
大田原赤十字病院産婦人科
今回,我々は非常に稀な疾患である子宮頚部乳頭状扁平上皮癌の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.(症例)39歳女性.月経歴25日型,整.妊娠歴4経妊2経産.既往歴,家族歴は特記すべきことなし.平成14年4月,不正出血を主訴に近医を受診したところ,子宮腟部頚管細胞診にてclassVであったため,精査加療目的にて当科受診となった.初診時,子宮膣部頚管細胞診にてclassV,コルポスコピーにて乳頭状の病変が子宮腟部から腟壁にかけて認められ,子宮腟部生検にて乳頭状扁平上皮癌が強く疑われた.子宮頚癌IIa期の診断で,同年5月23日根治術として広汎子宮全摘術を施行した.術後診断は子宮頚部乳頭状扁平上皮癌(pT2aN0M0,脈管侵襲陽性,腟断端陰性)であり,術後療法として化学療法(SIP療法,Nedaplatin・Ifosfamide・Peplomycin)を選択して,現在治療中である.(考察)子宮頚部乳頭状扁平上皮癌は,1986年Randallらにより報告された扁平上皮癌の1亜型であり,病理組織学的特徴として,血管茎の周囲に層状に存在する中等度〜高度異型細胞の存在が挙げられる.鑑別診断としては扁平上皮乳頭腫,疣状扁平上皮癌,コンジローマ様扁平上皮癌,移行上皮癌の子宮頚部転移などがあげられる.予後は,通常の扁平上皮癌に比べ転移や晩期再発が多いと報告されており,初回治療から5年以上の綿密な経過観察が必要である.今回はリンパ節転移や遠隔転移は認められないものの,脈管侵襲があり後療法が必要な症例であったが,転移例が多いことを考慮して,化学療法を選択した.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(3)
265-265, 2002
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