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第104回学術集会(平成14年10月19日(土),20日(日))
【一般演題】
子宮頚部悪性腫瘍2 当院における子宮頚部腺癌の治療成績について
長阪 一憲, 瀧澤 憲, 安田 孝, 中村 淳子, 中田 真木, 柿木 成子, 北條 智, 坂本 公彦, 櫻庭 志乃
三井記念病院産婦人科
子宮頚部腺癌は近年増加傾向にあるが,その診断と治療は問題が多い.私たちは最近4年6ヵ月の間に86例の子宮頸癌(0期を除く)を治療したが,そのうち21例(24%)が子宮頚部腺癌であった(腺癌;17例,腺扁平上皮癌;4例).その内訳は,Ia1期3例,Ia2期2例,Ib1期8例,Ib2期1例,IIa期1例,IIb期4例,IIIb期2例であった.診断的円錐切除術を施行した3症例は全て35歳未満であり,Ia1期,Ia2期,Ib1期各1例ずつであった.Ia2期の症例は,妊娠中の細胞診IIIb,組織診中等度異形成を最高病変としていたが,産褥1カ月の細胞診で腺癌を疑い産褥2ヶ月の円錐切除術でIa2期の腺癌と確定診断し,準広汎子宮全摘術を施行した.他の2例にはそれぞれ膣式子宮全摘術,広汎子宮全摘術を施行した.なお,I期14例中の3例(21%)はCISを伴っていた.IIb期以上の進行癌7例中4例は,術前化学療法(CDDP 100mg+MMC 10mg動注3例,CPT-11 175mg/m2+5FU 100mg静注1例)を施行した.動注化学療法を施行した3例は,3回の術前化学療法後に根治手術を施行できたが,1例は1年未満に再発し死亡した.静注の1例は根治手術不可能であり,放射線治療を試みたが1年未満で死亡した.一方,Ia期,Ib期の合計14例は全て一期的な根治手術が可能で,現在まで1例を除き無病生存中である.頚部腺癌の初期病変の診断は困難であり,II期以上の進行癌の治療法も検討の余地があると思われた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(3)
269-269, 2002
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