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第104回学術集会(平成14年10月19日(土),20日(日))
【一般演題】
外陰・膣・絨毛性疾患 Concurrent chemoradiotherapyが著効した進行外陰癌の1症例
松岡 良衛1), 中島 邦宣1), 池谷 美樹1), 茂木 真1), 高野 浩邦1), 三沢 裕子1), 古賀 良一1), 中林 豊1), 杉田 元1), 木村 英三1), 田中 忠夫2)
東京慈恵会医科大学付属第三病院産婦人科1), 東京慈恵会医科大学付属病院産婦人科2)
進行外陰癌については,骨盤内臓器全摘術も考慮した手術療法が行われている.しかし,術後合併症によるQOLの低下が起こりやすい.最近,子宮頚癌や,肛門癌に対するconcurrent chemoradiothrapyの良好な成績が明らかになると外陰癌に対しても同様の試みが行われるようになっている.今回我々は,広範囲の病変を認め,手術不能であった進行外陰癌に対し,concurrent chemoradiotherapyが著効した症例を経験したので,若干の知見を加えて報告する.[症例]53歳,2経妊2経産,既往:33歳右卵巣嚢腫茎捻転のため右付属器切除術施行.現病歴:1年前より自覚していた外陰部腫瘍の増大,腹部膨満感にて前医受診.外陰悪性腫瘍の疑い,左卵巣腫瘍の診断で,精査加療目的のため当院初診となった.視診,触診で非可動性の両側鼠径リンパ節の腫大を伴い,外陰部全周に2cm以上の腫瘍病変を認め,排尿困難を伴っていた.経膣超音波にて,左卵巣に73×48mmの嚢腫を認めた.MRI,CTにて両側鼠径リンパ節転移を伴う外陰癌,左良性卵巣嚢腫と診断した.遠隔転移は認めなかった.腫瘍一部生検にて高分化型扁平上皮癌と診断された.以上より,pT2N2M0,StageIVaと診断した.病変が広範囲であり進行期であったことから手術不適と考えconcurrent chemoradiotherapyを開始した.小骨盤,鼠径部を含めた外照射約54Gy,照射開始後より,(CDDP 25mg,PEP 5mg/body)×5日を1コースとして,1/3Wで3コース施行した.終了後,外陰部病変は肉眼でほとんど認めなかった.手術不能な進行外陰癌におけるconcurrent chemoradiotherapyは有効な治療であると考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(3)
271-271, 2002
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