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第104回学術集会(平成14年10月19日(土),20日(日))
【一般演題】
外陰・膣・絨毛性疾患 膣壁腫瘍として認められたGastrointestinal Stromal Tumorの一例
木村 美葵, 荻島 大貴, 須賀 新, 太田 剛志, 鈴木 千賀子, 田中 美香, 宮井 健太郎, 寺尾 泰久, 吉田 学, 木下 勝之
順天堂大学産婦人科
GIST(Gastrointestinal Stromal Tumor)とは消化管由来の間葉系腫瘍で,CD117(c-kit)の免疫組織学的染色で陽性を示すことが特徴的である.今回腟壁に発生し,再発を繰り返すGISTの一例を経験したので報告する.症例は58歳,3経妊2経産,平成2年,腟内異物感を主訴に近医婦人科受診.腟壁から直腸括約筋にかけて存在する腫瘤を認め,同年,経腟的腫瘍摘出術を施行.病理組織学的に細胞異型を伴う紡錘形細胞の増生からなり,核分裂像も目立つことより,腟壁原発の平滑筋肉腫と診断した.平成3年,8年に同部位に再発病巣を認め,いずれも経腟的に切除した.平滑筋肉腫にしては局所再発を繰り返しながらも遠隔転移なく,長期予後が良好なこと,腟壁の6時方向からの発生であることから直腸発生の腫瘍を疑い,GISTに特異的であるCD117,CD34による免疫組織学的染色を行った.本腫瘍はどちらも強陽性を示し最終診断をGISTとした.その後も平成12年,14年に局所再発認め,経腟的に腫瘍切除を行ない,現在再発兆候なく生存中である.腟壁に発生する間葉系悪性腫瘍には稀ながらも平滑筋肉腫,線維肉腫,悪性黒色腫などがあげられるが,消化管由来であるGISTもその鑑別診断として加える必要があると考えた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(3)
272-272, 2002
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