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第104回学術集会(平成14年10月19日(土),20日(日))
【一般演題】
外陰・膣・絨毛性疾患 絨毛性疾患化学療法後の妊娠転帰の比較
松井 英雄, 鈴鹿 清美, 飯塚 美徳, 山澤 功二, 田中 尚武, 三橋 暁, 関 克義, 関谷 宗英
千葉大学産婦人科
【目的】絨毛性疾患は化学療法が奏効し,生殖期年令に多い疾患であるため,化学療法後妊娠を希望する患者も多い.しかし化学療法による妊娠転帰への影響,再発などの可能性から妊娠に踏み切れない患者も多い.さらに化学療法後いかなる時点で妊娠を許可しても良いかとの問題もある.今回当科で管理した絨毛性疾患の妊娠転帰を比較し,妊娠許可の時期についての検討を加えた.【方法】1974年から2000年までに当科で治療した絨毛性疾患387例を対象とし,その治療後の妊娠転帰について化学療法剤,妊娠までの期間別に比較検討した.【成績】387例中130例が少なくとも1回の妊娠を経験した.MTX,Act-D,Etoposide単独で治療を開始した症例の初回妊娠転帰はMTX(43/56:76.8%),Act-D(16/18:88/9%),Etoposide(29/36:80.6%)が正常分娩となり,化学療法剤による差は認めなかった.妊娠までの期間別に比較すると,治療終了後6ヵ月以内の妊娠例では15例中6例(40.0%)が自然流産,12ヵ月以上の妊娠例では95例中10例(10.5%)が自然流産となった.【結論】絨毛性疾患に有効な化学療法剤にはMTX,Act-D,Etoposideが挙げられるが,いずれの化学療法剤も妊娠転帰には差を認めなかった.また化学療法終了後6ヵ月以内の妊娠例では流産率が高率となり,絨毛性疾患化学療法終了後最低限6ヵ月以上の避妊期間が必要であると考えられる.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(3)
273-273, 2002
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