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第104回学術集会(平成14年10月19日(土),20日(日))
【一般演題】
外陰・膣・絨毛性疾患 妊娠合併絨毛癌が疑われる満期分娩後の絨毛癌の一例
山田 香織, 北村 文明, 小川 陽男, 塚本 是隆
抱生会丸の内病院産婦人科
正常妊娠に合併した絨毛癌は非常に稀で,分娩後持続する異常出血や,転移巣によるいろいろな症状にて絨毛癌が診断される.妊娠合併絨毛癌では予後は不良で,発見時に全身へ転移が広がっていることが多い.今回我々は,分娩後40日で不正出血を認め,発見された絨毛癌で,手術・化学療法が奏効した症例を経験したので報告する.症例は25歳0G,妊娠16週に尿中HCGが512000iu/lと高値を認め,超音波断層法上子宮腔内にcystic leisionを認めた.しかし,その後,尿中HCGは正常範囲内まで下降し,超音波断層法上も著変を認めなかった.以降妊娠は順調に経過した.平成13年12月9日(妊娠36週2日)に分娩,胎盤に肉眼的異常は認めなかった.胎盤病理検査では,絨毛細胞の他,中間型trophoblastを一部に認めるのみで,明らかに絨毛癌を示唆する所見は認められなかった.一ヶ月健診時は子宮収縮も良好,悪露も少量であったが,その3日後,多量の性器出血を認め,経膣超音波上子宮内に辺縁不明瞭な腫瘤を認めた.内膜掻爬を施行し,病理診断ではPSTTと診断された.また,膣壁転移も認められた.平成14年2月9日,単純子宮全摘術,膣壁部分切除を施行し,病理診断にて絨毛癌との診断された.術後,再度全身精査を施行,術前には認めなかった肺転移が認められ,術前とは離れた部位に膣壁転移を認めた.MAC療法を6クール施行し,尿中・血中HCGは速やかに下降し,現在尿中・血中HCGβ-subunit,HCG-CTPともにカットオフ値以下で,再発も認めていない.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(3)
273-273, 2002
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