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第104回学術集会(平成14年10月19日(土),20日(日))

【一般演題】
外陰・膣・絨毛性疾患
遺伝子解析により胎児共存奇胎と診断された1例


矢野 ともね1), 深谷 暁1), 三宅 潔1), 大高 究1), 木下 俊彦1), 伊藤 元博1), 海野 信也2)
東邦大学付属佐倉病院産婦人科1), 長野県立こども病院総合周産期母子医療センター産科2)


 胎児共存奇胎および部分胞状奇胎は病理組織学的にも両者の鑑別は難しいことがあり,続発性絨毛性疾患のリスクに対して奇胎部分のDNA診断が治療・管理において重要となる.今回われわれは,遺伝子解析により奇胎組織の雄核発生が明らかにされた症例を経験したので報告する.[症例]症例は27歳の1回経産婦で,自然妊娠後近医にて部分胞状奇胎を疑われ妊娠10週6日にて当科を受診した.初診時胎児は10週相当の大きさで,胎盤の一部に嚢胞状echoを認めた.尿中HCGは304,732IU/l,血清HCGは357,000mIU/mlと高値であった.胎児は週数相当に成長し,超音波検査上特に異常は認められなかったが,胎盤に占める嚢胞状部分が徐々に拡大し,性器出血が増強したため妊娠15週2日にて人工妊娠中絶術を施行した.胎児には外表奇形は認められず,胎盤の一部に正常絨毛が認められた.胎盤の病理検査結果はpartial hydatidiform moleであった.患者よりinformed consentを得て臍帯,正常胎盤部分および奇胎部分の遺伝子解析を行ったところ奇胎部分では父親由来のfragmentのみが認められ,奇胎組織は雄核発生で胎児共存奇胎と診断された.術後尿中HCGおよび血中HCG-βは順調に低下し,術後257日現在尿中HCGは15IU/l未満,血中HCG-βは0.2ng/ml未満で経過しており,頭部CTおよび胸部レントゲン検査にて異常は認められていない.[考察]胎児共存奇胎の発生頻度は10,000〜100,000妊娠に1回とまれであるが,奇胎部分が雄核発生である全胞状奇胎の場合続発性絨毛性疾患へのリスクが高く,治療・管理には注意を要する.奇胎組織の発生由来をDNA診断により迅速に明らかにすることが続発性疾患の管理の上で今後重要となると思われる.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(3) 274-274, 2002


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