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第104回学術集会(平成14年10月19日(土),20日(日))
【一般演題】
子宮筋腫 卵巣腫瘍と鑑別が困難であった巨大子宮筋腫の2症例
稲葉 不知之1), 深瀬 正人2), 門 智史2), 辻井 篤2), 前川 岩夫2), 江口 正信3), 深澤 一雄1), 稲葉 憲之1)
獨協医科大学産婦人科1), 沼津市立病院産婦人科2), 同臨床検査科3)
子宮筋腫は頻繁に遭遇する疾患であるが,近年は検診に対する関心の高まりから巨大子宮筋腫に遭遇する事は稀である.我々は巨大子宮筋腫,それも卵巣腫瘍と鑑別に苦慮した2症例を経験したので報告する.[症例1]41歳,0妊0産.平成12年4月から腹部増大,同年10月には増悪傾向あり.しかし家庭の事情によりそのまま放置.平成13年5月7日,腹部膨満,体重増加にて内科を受診.翌日当科に紹介.腹囲109cm.腫瘍マーカーの上昇認めず.経腹超音波では嚢胞,充実性部位とが混在.CTでは40cmの巨大なmassが認められたcystadenocarcinomaの診断にて5月17日開腹術施行.しかし,子宮体部後壁から有茎状に発生する,筋腫内容液5700mlを含めて総計19.5kgの巨大子宮筋腫と判明した.病理組織でも強い変性を伴うleiomyomaと診断.[症例2]63歳,既往歴,妊娠歴は不明.14年前から下腹部腫瘤を認めていたが,一度も受診せず.平成13年6月上旬から食欲不振.6月24日状態が悪化し前医に電話相談.当院を紹介されるも受診せず,6月28日自宅から救急車搬送となる.来院時,意識消失にて痛み刺激に反応せず.SpO277%(10Lリザーバー),呼吸不全状態.経腹超音波では嚢胞,充実性部位との混在を認め,緊急CTでは胸郭変形を伴う35cmの巨大なmassを認めた.呼吸状態改善の為,内容液を吸引しようと試みている間に心肺停止.蘇生を試みるも死亡.剖検結果により23kgのleiomyomaと判明.本邦で文献的には,5番目の大きさである.[結論]巨大子宮筋腫の鑑別は難しく,開腹して初めて判明することも少なくない.正しく巨大子宮筋腫を診断するためには,先ずその存在の可能性を念頭におく事が不可欠である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(3)
274-274, 2002
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