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第104回学術集会(平成14年10月19日(土),20日(日))
【一般演題】
子宮筋腫 子宮筋腫に対する選択的子宮動脈塞栓術の発生部位別有効性
和地 祐一, 安藤 索, 葉梨 秀樹, 松本 浩範, 武者 晃永, 高橋 康一, 岩下 光利, 中村 幸雄
杏林大学産婦人科
子宮筋腫に対する治療の1つとして近年,開腹手術やGnRHアゴニスト投与にかわり子宮動脈塞栓術が試みられている.しかしながらその歴史は浅く,治療方法の確立,疼痛管理,長期予後など検討すべき項目は多岐にわたる.今回我々は子宮動脈塞栓術の効果を筋腫核の発生部位別に検討した.対象は平成11年12月から現在までの当院における子宮動脈塞栓術症例約100症例とした.筋腫核の局在はMRIを用い,粘膜下筋腫,筋層内筋腫,漿膜下筋腫に分類し,それぞれの縮小率を算出し,発生部位における治療効果に関して検討した.方法は術前,術後3カ月,6カ月,12カ月,18カ月におけるMRIを使用し,子宮および筋腫核の大きさを3方向より計測しその容積を算出し,術前の容積と比較した.結果として粘膜下筋腫,筋層内筋腫,漿膜下筋腫のうち最も縮小率が高いのは粘膜下筋腫であった.多発性筋腫症例においても粘膜下筋腫で最も縮小率が高かった.特に漿膜下筋腫においては有効な縮小が見られない症例も存在した.筋腫縮小率は術前容積を100%として3カ月において50%,6カ月において38%,12カ月において40%であった.一方,子宮容積は治療前に比し3カ月において92%,6カ月において55%,12カ月において40%,18カ月において33%まで縮小した.今回の検討により子宮筋腫に対する子宮動脈塞栓術はその発生部位により治療効果が異なることが推測された.今後さらに症例を重ね,また長期予後を観察することにより,その有効性がより明らかになると思われた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(3)
277-277, 2002
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