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第104回学術集会(平成14年10月19日(土),20日(日))

【一般演題】
その他の腫瘍1
卵巣腫瘍が疑われた後腹膜神経鞘腫の一例


川口 牧子1), 小武海 成之1), 大澤 淑子1), 木村 浩幸1), 青木 類1), 佐藤 博久1), 内田 智2)
国家公務員共済組合連合立川病院産婦人科1), 立川中央病院産婦人科2)


 骨盤内に腫瘍を形成する疾患は多くみられるが,後腹膜に発生する腫瘍には肉腫,奇形腫などがあるがまれである.今回,我々は卵巣腫瘍を疑い手術を行ったが,病理組織検査にて後腹膜神経鞘腫と診断された症例を経験したので報告する.症例は59歳の女性で,43歳で子宮筋腫にて子宮全摘術を受けている.左腹部違和感あり,平成14年4月22日近医受診し卵巣腫瘍疑いあり手術目的で当科へ紹介された.腫瘍マーカーは著明な変化を示さなかったが,MRIではのう胞部と充実性の部分が混在しており悪性の可能性もあり,卵巣腫瘍を疑い手術を施行した.術中所見では,両側卵巣は萎縮性であり,腫瘍は後腹膜にあり小手拳大で直腸後方と仙骨前面の間にあった.腫瘍の迅速病理検査では組織診断は困難であったが悪性の可能性が示唆された.腫瘍は周囲との癒着はあるも腫瘍は残存なく摘出でき,後腹膜にドレーンを留置して手術を終了した.出血量は2080mlとなり,濃厚赤血球を6単位輸血した.摘出標本,病理組織学的所見より,Antoni B型後腹膜神経鞘腫と診断された.手術後は7日間禁食とし,経過良好を確認して食事を開始しドレーンを抜去した.神経鞘腫は全身の神経系のいずれの部位からも発生するが後腹膜に発生することはまれである.良性神経鞘腫と悪性神経鞘腫があり今回の症例は良性であったが,腫瘍の完全切除が行われたので再発の防止ができた.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(3) 277-277, 2002


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