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第104回学術集会(平成14年10月19日(土),20日(日))
【一般演題】
その他の腫瘍1 卵巣腫瘍と鑑別が困難であった大網原発腫瘍の1例
小原 みほ子, 高津 亜希子, 本道 隆明, 木村 薫
厚生連篠ノ井総合病院産婦人科
従来から知られている消化管の間質系腫瘍には平滑筋性腫瘍と神経性腫瘍がある.しかし,組織学的に両者の特徴を示す腫瘍に対して胃腸管間質腫瘍 gastrointestinal stromal tumor(GIST)という概念が用いられるようになってきた.今回我々は術前に卵巣悪性腫瘍と診断したが,大網原発で空腸と連続性のあるGISTの1例を経験したので報告する.症例は65歳の2回経妊2回経産女性で,既往歴として45歳時に子宮筋腫のため某医で腹式単純子宮全摘術を施行されている.人間ドックの経膣超音波及び腹部CTで卵巣腫瘍を疑われ,当科を初診した.下腹部に小児頭大の充実性腫瘍を認め,腫瘍マーカーはCA125の上昇を認めたが,CA19-9,CEAはカットオフ値以下であった.卵巣悪性腫瘍の診断で開腹術を施行した.腹腔内に淡血性の腹水を少量認め,腹水細胞診はclass Iであった.小児頭大で弾性硬の腫瘍が大網にとりかこまれるように存在し,大網からの栄養血管を豊富に認め,腫瘍の一部は空腸と連続していた.左右卵巣は年齢相当に萎縮しており異常所見は認めなかった.腫瘍摘出術,空腸部分切除術,両側付属器切除術を施行した.腫瘍の内部の大部分は壊死に陥り,著明な悪臭を認めた.大網原発の胃腸管間質腫瘍(gastrointestinal stromal tumor combined smooth muscle-neural type of low grade malignancy)と診断された.現在外来で経過観察中であるが再発は認めず経過良好である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(3)
278-278, 2002
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