|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第104回学術集会(平成14年10月19日(土),20日(日))
【一般演題】
その他の腫瘍2 子宮頚管ポリープに限局した悪性リンパ腫の1例
町田 亮太, 竹下 茂樹, 田口 彰則, 大江 英一, 村瀬 隆之, 梁 栄治, 篠塚 憲男, 綾部 琢哉, 森 宏之
帝京大学産婦人科
子宮原発の悪性リンパ腫の頻度は全悪性リンパ腫の0.1%程度とされ,女性の節外性リンパ腫の約0.5から2%程度と稀な疾患である.なかでも病巣が限局しているものは更に稀である.今回我々は,子宮頚管ポリープに限局した悪性リンパ腫の1例を経験したので報告する.症例は45才,3回経妊2回経産婦,平成13年5月中旬頃より不正性器出血が持続し近医産婦人科を受診.直径1cmの子宮頚管ポリープを切除された.病理組織検査で悪性リンパ腫(ML diffuse large cell type)と診断されたため,精査目的で当院内科を6月27日に受診した.全身検索目的で,胸・腹部CT,Gaシンチ,腹部MRI,DIPを施行したが子宮頚管ポリープ以外の明らかな悪性リンパ腫の存在は確定できなかった.婦人科的には子宮は全体として手拳大で,左卵巣にチョコレ−ト嚢胞を認め,子宮筋腫及び子宮内膜症と診断した.悪性リンパ腫が子宮に残存している可能性を考え,8月28日,準広汎子宮全摘術,両側付属器切除術および骨盤内リンパ節生検術を施行した.肉眼所見では子宮頚部にはポリープ切除痕を認めたのみであった.病理組織学的にも子宮及び両側付属器に悪性リンパ腫は残存していなかった.生検した骨盤リンパ節は5〜10mmに腫大していたが,柔らかく,いずれも悪性リンパ腫の浸潤は認めなかった.術後化学療法を施行する必要性については明らかな根拠がなく,最終的には患者本人が希望しなかったため,手術のみで治療を終了した.術後約3カ月経過した時点より右頚部,左顎下部,右顎下部リンパ節の腫脹を指摘されており,現在慎重に経過を観察している.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(3)
282-282, 2002
|