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第104回学術集会(平成14年10月19日(土),20日(日))
【一般演題】
子宮外妊娠 同時に卵管と卵巣に子宮外妊娠を認めた症例
井原 規公1), 児島 梨絵子1), 楯 浩行1), 山口 隆1), 山城 千珠1), 中村 光佐子1), 三島 みさ子1), 古屋 智1), 横尾 郁子1), 山田 義治2), 伊豆田 誠人1), 加藤 賢朗1)
虎の門病院産婦人科1), 静岡県ガンセンター産婦人科2)
IVFにより子宮外妊娠の頻度は増加する.内・外同時妊娠の報告は比較的多く認めるが,2カ所の子宮外妊娠(外・外同時妊娠)の報告はほとんどない.今回,卵管妊娠の診断で紹介され,緊急腹腔鏡下手術を施行するも,反対側にも卵巣妊娠が存在した症例を経験したので報告する.【症例】34才,未経妊.2年半の不妊で97年2月に前医受診.原因不明の不妊にてIVF施行.5回目のIVFで3個胚移植し,妊娠成立.5w5dに受診時,HCGβ7482であったが子宮内に胎嚢は認めず.6w3d受診時に左付属器に心拍を伴うCRLを認めたため子宮外妊娠と診断された.翌日紹介受診となり,エコーにて右付属器に心拍を認める胎嚢がみられ,緊急入院となる.同日,右卵管妊娠の診断で腹腔鏡手術を施行したところ,左卵管膨大部妊娠を認めた.右卵管および,確認できる範囲の右卵巣表面には異常を認めず.エコーでは左卵管が子宮の右側に移動していたと判断し,左卵管切除施行.しかしながら,翌日のHCGβでは12472,翌々日には15906と上昇したため,再度超音波検査をしたところ,右卵巣表面に心拍を伴う胎嚢を認めた.初回術後3日目に開腹術施行.腹腔鏡では確認されなかった右卵巣表面に血腫を認め,これを剥離すると卵巣表面に胎嚢を含む腫瘤が認められた.右卵巣部分切除および右卵管切除施行.着床部位は右卵巣の黄体表面であった.【結語】卵管・卵巣の外・外同時妊娠としては,我々の知る限り初めての報告である.ART妊娠では重複子宮外妊娠も念頭におくべきであり,詳細な超音波検査と術中観察が必要であると痛感させられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(3)
285-285, 2002
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