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第104回学術集会(平成14年10月19日(土),20日(日))
【一般演題】
産科手術 超緊急帝切の現状
鴨下 詠美, 金井 雄二, 齋藤 克, 天野 完, 西島 正博
北里大学産婦人科
1995年〜2000年の帝切頻度は17.7%(7789例中1380例)で,母児に危険が生じ一刻を争うような超緊急帝切は4.4%(61例)で,帝切決定から娩出までの平均所要時間は14.3分であった.これらをもとに,緊急時のスムーズな対応を麻酔科と協議のうえ2001年に超緊急帝切例の前方視的検討を行った.帝切頻度は1158例中215例,18.6%で,遷延一過性徐脈(100bpm以下が5分以上)による超緊急帝切例は13例,6.0%であった.5例が母体搬送例で,胎児ジストレスの原因は常位胎盤早期剥離が4例と最も多く,ついで臍帯脱出が3例,子宮破裂と母体呼吸不全がそれぞれ1例であった.児娩出までの平均所要時間は14.3分から11.5分と有意に短縮されたが,神経学的後遺症を残す可能性のある臍帯動脈血pH7.0未満が8例であった.なお,アプガースコア5分値3点以下は2例であった.13例中12例がNICU管理となり,そのうち9例が人工換気を要した.臍帯脱出による母体搬送の2例が乳児死亡となったが,生存児は現時点で神経学的後遺症を認めていない.麻酔科の協力により,短時間での緊急事態の対処が可能となったが,さらなる時間の短縮には入室経路の改善が必要であり,今後は分娩室での帝切を可能とすべく検討している.胎児徐脈による胎児ジストレスでは児娩出までの時間が予後に直接関連するため,それぞれの施設,地域で速やかな帝切が可能となるシステムの構築が必要であると考えられる.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(3)
288-288, 2002
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