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第104回学術集会(平成14年10月19日(土),20日(日))

【一般演題】
産科手術
減胎手術は安全か?―品胎症例の予後との比較


井畑 穰1), 春木 篤1), 石川 浩史1), 遠藤 方哉2), 安藤 紀子1), 高橋 恒男1), 平原 史樹2)
横浜市立大学市民総合医療センター母子医療センター1), 横浜市立大学産婦人科2)


 生殖補助医療技術の発達・普及に伴い,自然妊娠では極めて稀な品胎以上の多胎妊娠が著しく増加している.品胎以上の多胎妊娠では母児共に多くの合併症が起こりうることから,これに対し減胎手術を施行する例も増加しており,倫理的な問題も含め様々な論議がなされてきた.
 今回我々は,本人の強い希望により他施設で減胎手術を施行し,その後当院で管理した症例について検討した.さらに同時期の品胎管理入院の予後と比較し,減胎手術と多胎妊娠管理の様々な問題点について,若干の文献的考察を加えて報告する.
 当院では過去5年間に3例の減胎手術後管理の機会があり,2例は妊娠中期までに流産となり,1例は23週で早産となった.一方で,同時期に9例の品胎管理の機会があり,全例児のintact survivalを得ている.このうち,長期にわたるNICU管理が必要となった症例はなかった.9例のうち7例は34週以降の分娩であり,他も32週・33週であった.
 減胎手術については,母体への負担やNICUを中心とした周産期医療への負荷の軽減などの側面においては確かに有効であろうが,当院での経験症例に関する限りにおいては,妊娠予後は不良でありその医学的適応には疑問が残った.
 現状では,品胎以上の妊娠の著しい減少は今後も望めないであろうが,減胎手術を希望される夫婦に対しては,品胎妊娠では児の良好な予後が期待でき減胎にはリスクも伴うことを含め,児の予後についての十分なインフォームドコンセントが必要であると思われる.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(3) 290-290, 2002


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