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第104回学術集会(平成14年10月19日(土),20日(日))

【一般演題】
胎盤の異常
Massive subchorionic thrombohematomaの1例


鹿島 大靖1), 服部 里佳1), 前 和幸1), 高江 健太郎1), 高木 紀美代1), 海野 信也1), 小木曾 嘉文2), 南澤 豊3)
長野県立こども病院総合周産期母子医療センター産科1), 長野県立こども病院臨床病理科2), 三輪田町産婦人科3)


【症例】22歳,0回経妊.家族歴,既往歴に特記事項なし.他院にて妊娠管理されていた.妊娠24週2日,胎児発育遅延傾向および胎盤の増大傾向を認めた.妊娠26週4日,腹部緊満感の増強,胎児発育停止,胎盤の増大を認めたため,当科へ紹介となった.超音波検査上,子宮内には子宮底より内子宮口に至る,内部に鏡面形成を伴う巨大な嚢腫様腫瘤を認め,胎児は腫瘤により子宮前壁直下に圧排されており,胎盤は描出できなかった.胎児推定体重は325g(−3.6SD),羊水腔を認めず,臍帯動脈拡張期逆流を認め,子宮内胎児発育遅延,羊水過少,胎盤内血腫と診断した.検査直後より嘔吐,顔面蒼白が出現,子宮は持続的に緊満し,母体頻脈を認め,超音波検査にて胎児心拍の消失を確認した.血中ヘモグロビンは入院時9.1g/dlから6.6g/dlと急激に減少しており,胎盤内への急性の出血を考え,緊急帝王切開術を施行した.胎児娩出後,子宮収縮に伴い胎盤胎児面は膨隆,子宮腔内全体を胎盤が占拠した.用手的に胎盤を剥離したところ,赤色,暗赤色の凝血塊を伴う大量の血液が流出,総量は2450mlであった.児は443g,関節の拘縮が著明であった.胎盤は191g,肉眼的に胎盤実質の大部分は欠損していた.病理検査では絨毛膜板より連続する血腫を認めた.経過中凝固能異常,出血傾向は認めなかった.【考察】Massive subchorionic thrombohematomaは,胎盤において絨毛と絨毛膜板の間に母体由来の大きな血腫(血栓)を形成し,子宮内胎児発育遅延や子宮内胎児死亡を来すまれな疾患であるが,本疾患では胎児の状態のみならず,母体の出血としても留意すべきと考えられた.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(3) 293-293, 2002


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